ビタミンA

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栄養学
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ビタミンAとは

ビタミンAとは、レチノール、レチナール、レチノイン酸の総称で、脂溶性ビタミンに分類されます。

また、植物に含まれるβ(ベータ)-カロテンは、摂取すると、小腸上皮細胞でビタミンAに変換されるのでプロビタミンA(ビタミンA前駆体)と呼ばれ、ビタミンAの仲間に分類されます。

ビタミンAの1日の接種基準量

ビタミンAの摂取基準には、レチノールだけでなくビタミンAの前駆体すべて合わせて、レチノール活性当量(RAE)として算出した値を用います。

レチノール活性当量は以下の式で求めます。

レチノール活性当量(㎍RAE)=
レチノール(㎍)+β-カロテン(㎍)×1/12+α-カロテン(㎍)×1/24+β-クリプトキサンチン(㎍)×1/24+その他のプロビタミンAカロテノイド(㎍)×1/24
下記図に示すように、厚生労働省発表の日本人の食事摂取基準(2015年版)によると一日当たりのビタミンAの推定平均必要量は50~69歳の男性で600㎍RAE、女性で500㎍RAE、70歳以上の男性で550㎍RAE、女性で450㎍RAE、推奨量は50~69歳の男性で850㎍RAE、女性で700㎍RAE、70歳以上の男性で800㎍RAE、女性で650㎍RAEとなっています。

「推定平均必要量」は50%の人が必要量を満たす量(50%が欠乏、50%が充足)で科学的に根拠があるもの、「推奨量」はほとんどの人が必要量を満たす量(97.5%が充足)なので、推奨量を満たすことが望ましいといえます(表1)。

また、ビタミンAは脂溶性ビタミンであるため、体内に蓄積しやすく、過剰摂取の害が知られています。そのため、食事摂取基準では上限値(耐容上限量)が定められています。

ビタミンAの食事摂取基準(㎍RAE/日)a
性別 男性 女性
年齢等 推定平均必要量b 推奨量b 目安量c 耐容上限量c 推定平均必要量b 推奨量b 目安量c 耐容上限量c
0~5(月) 300 600 300 600
6~11(月) 400 600 400 600
1~2(歳) 300 400 600 250 350 600
3~5(歳) 350 500 700 300 400 700
6~7(歳) 300 450 900 300 400 900
8~9(歳) 350 500 1,200 350 500 1,200
10~11(歳) 450 600 1,500 400 600 1,500
12~14(歳) 550 800 2,100 500 700 2,100
15~17(歳) 650 900 2,600 500 650 2,600
18~29(歳) 600 850 2,700 450 650 2,700
30~49(歳) 650 900 2,700 500 700 2,700
50~69(歳) 600 850 2,700 500 700 2,700
70以上(歳) 550 800 2,700 450 650 2,700
妊婦(付加量)初期 +0 +0
妊婦(付加量)中期 +0 +0
妊婦(付加量)後期 +60 +80
授乳婦(付加量) +300 +450
  1. レチノール活性当量(㎍RAE)=レチノール(㎍)+β-カロテン(㎍)×1/12+α-カロテン(㎍)×1/24+β-クリプトキサンチン(㎍)×1/24+その他のプロビタミンAカロテノイド(㎍)×1/24
  2. プロビタミンAカロテノイドを含む。
  3. プロビタミンAカロテノイドを含まない。
  • 推定平均必要量:半数の人が必要量を満たす量。
  • 推奨量:ほとんどの人が必要量を満たす量。
  • 目安量:一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
  • 耐容上限量:過剰摂取による健康障害を未然に防ぐ量。

ビタミンAが不足・過剰摂取するとどうなる?

ビタミンAが不足すると暗順応障害が起こり薄暗いところでものが見にくくなり、やがて夜盲症になります。

また、角膜や結膜上皮が乾燥し、角質化するほか、皮膚や粘膜でも、乾燥、肥厚、角質化が起こります。小児の場合は成長が停止する場合もあります。

反対に脂溶性ビタミンである、ビタミンAは過剰に摂取しても、健康障害が起こることが知られています。

ビタミンA過剰症の症状として、頭痛が特徴的であるほか、急性の過剰症としては脳脊髄液圧の上昇や、慢性的な過剰症として、頭蓋内圧亢進症や皮膚のはげ落ち、口唇炎、脱毛症、食欲不振、筋肉痛などの症状が見られることが知られています。

ビタミンAの過剰症は通常の食事ではほとんど起こりませんが、サプリメントを利用したり、ビタミンAを特に多く含むレバーを過剰に食べたりする際は注意しましょう。

また、β-カロテンからのビタミンAへの変換は必要に応じて厳密に調節されているため、β-カロテンによるビタミンAの過剰症は起こらないとされています。

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