タンパク質とは
タンパク質は炭水化物・脂質とあわせて三大栄養素と呼ばれています。
人間の筋肉や臓器、体内の調整に役立っているホルモンの材料となるだけでなくエネルギー源にもなっている必要な栄養素です。
主にアミノ酸によって構成されています。
タンパク質は、アミノ酸や、アミノ酸がつながったペプチドに分解されて体に取り込まれたあと、必要なタンパク質へと再形成されます。
自然には多くのアミノ酸が存在していますが、体の材料となりうるアミノ酸は、このうちの20種類です。
これら20種類のアミノ酸がそれぞれの目的にあわせて数十~数百個以上結合し、約10万種類のタンパク質に形を変えます。
筋肉や肌、髪が同じタンパク質からできているのに形が異なるのは、このようなアミノ酸の組み合わせによるものです。
また、20種類のアミノ酸のうち9種類は体内で合成できないため食事から摂取する必要があります。これを必須アミノ酸、それ以外の11種類を非必須アミノ酸と呼びます。
タンパク質の種類
食事からタンパク質を摂取するには、肉や魚、卵などの動物性食品と、穀類や豆類などの植物性食品があります。実は動物性と植物性など食材によって、含まれている必須アミノ酸が違います。
この違いを知らずにいると、タンパク質をしっかり補給しているつもりでも必要なアミノ酸が摂れていなかった…という可能性も考えられます。
動物性たんぱく質
魚介類を含む動物由来のタンパク質のことを指します。肉類、魚介類、卵、乳製品などに含まれています。
植物性たんぱく質
植物由来のタンパク質のことを指します。米、小麦、大豆、種類によっては野菜や果物にも含まれているものがあります。
動物性・植物性のタンパク質の違い
最大の違いは必須アミノ酸のバランスにあります。
動物性タンパク質は多くのものが9種類の必須アミノ酸を含んでいますが、一部の植物性タンパク質は不足しているものがあります。
アミノ酸全体の働きは不足している必須アミノ酸のレベルにあわせて制限されてしまうので、タンパク質を摂っているつもりでも足りていなかった、となってしまうことがあります(アミノ酸の桶の理論)。また、体内の吸収率も動物性タンパク質97%に対して、植物性タンパク質は84%となっています。
アミノ酸がバランスよく含まれている良質なタンパク質かどうかを知る方法の一つに「アミノ酸スコア」があります。
アミノ酸スコアは食品に含まれるタンパク質の栄養価を表しており、アミノ酸スコアが100、もしくはそれに近い数値であれば理想とされているアミノ酸組成に近いものと考えられます。
肉や魚、乳製品などの動物性タンパク質食品にはアミノ酸スコア100のものが多く、対して植物性タンパク質食品には数値の低いもの、つまり必須アミノ酸が不足しているものが多くみられることがわかります。
アミノ酸スコア
食品中のタンパク質の栄養価を必須アミノ酸含量で示した指標をアミノ酸スコアといいます。
FAO/WHOは、食事のタンパク質に含まれるべき必須アミノ酸の組成(mg/gタンパク質)を、基準となるアミノ酸評点パターンとして公表しています。
このアミノ酸評点パターンと食品のタンパク質中のアミノ酸量を比較することで、タンパク質の栄養価を評価できます。
タンパク質中のアミノ酸量のうち、アミノ酸評点パターンを下回るものを制限アミノ酸といい、このうち最も少ないアミノ酸が第一制限アミノとなります。
アミノ酸スコアは、タンパク質1 g中の第一制限アミノ酸量(mg)を評点パターンにおけるそのアミノ酸の量(mg)で除した値に100を乗じたものとなります。
アミノ酸スコアが100に近い食品ほど良質なタンパク質が含まれていると評価できます。
一方、食品タンパク質に制限アミノ酸がある場合でも、そのアミノ酸を別の食品から補うことができれば、食品タンパク質の栄養価を改善することができます。
これをアミノ酸の補足効果といいます。
(文献2-3-2より引用)